rest area no.3 expo 2025

public
2025



photos by Yosuke Ohtake



所在地:大阪府大阪市此花区夢洲中一丁目地先
用途:休憩所
構造・構法:木造軸組み構法、鉄骨造
階数:2階
延床面積:568.23㎡
敷地面積:1947.81㎡

担当:
(基本設計)山田紗子、鈴木心    
(実施設計)山田紗子、鈴木心、権業裕太、福田海武
構造:TECTONICA
施工:株式会社シマ

竣工年:2025年
 


Site: Osaka Pref.
Kind: rest space
Structure: wooden structure,steel structure
Storys: 2
Total floor Area: 568.23㎡
Building Area: 1947.81㎡

Project team:
(schematic design)Suzuko Yamada, Kokoro Suzuki
(develop design)Suzuko Yamada, Kokoro Suzuki, Yuta Gongyo, Malibu Fukuda
Structure Engineer: TECTONICA
Construction: Shima Co.,Ltd.

Year: 2025


2022年の初夏、万博会場内のトイレや休憩施設等のプロポーザルに参加した。最終審査を通過し、実際に設計を行う敷地が決まったのが2022年の8月。「静けさの森」という人工緑地帯の際に細長く張り付いたような場所だった。要求されている諸室はブラックボックス的なプログラムが多くを占め、指定された敷地形状では分厚い壁のような建築物が建ってしまう。そこで隣接していた群島状の植栽帯エリアまで敷地を延ばし、建物が植栽と一体的に混ざり合う環境を描くのはどうか、と提案した。結果、敷地がぐっと広がった。

巨大な更地である夢洲を訪れ、その茫漠とした風景の中に、意匠を凝らした多くのパビリオンが軒を連ねることを想像した。なにしろすべての建物が一斉に別々に設計されるので、周囲との応答は難しい。それでも私たちが設計するのは、パビリオンではなくパブリックスペースである。自らのフレームに閉じてしまうのではない建ち方を考える必要があると思った。そして設定されたルート上に体験が用意されるのではなく、建物と植物がつくる輪郭と日陰を頼りに、自らが落ち着く場を発見するほうがいい。全体をひとつの形にまとめず、まだ見ぬ未来の周辺環境と対話するランドスケープとして、建築を考え始めた。

まずそれぞれの建築ボリュームをなるべく小さくするために、必要諸室をそのまま棟として分ける。植栽帯と建築物のボリュームを近づけることで、それらがヒエラルキーなく同時に場をつくる。建築物は屋外でも良いもの、地上から持ち上げた方が都合の良いもの、細長く連なるもの、広く軒を出したいもの、といったさまざまな個性を率直に形として立ち上げていく。このときそれぞれの形は、ややアンバランスなものになることも良しとした。自らバランスを取ろうとしない形は単体では完結せず、その周りに妙な余白を生んだり、隣り合う形とのあいだに新たな関係をつくろうとするので面白い。

その上で建築ボリュームと植栽ボリュームの凹凸を組み合わせてみる。あいだに挟まれた空間は図がくり抜かれた地のように取り留めがなくさまざまな方向へと拡散している。それらの断続的なラインの中に人の居場所が生まれるように、その空間のアウトラインを積極的に描くことを試みる。3Dモデル上で12か所のビューポイントを設定し、ひとつの画角の中である建物の壁、樹木群、別の建物の軒下、それぞれのアウトラインが連続したラインとなるように描く。それぞれの画角で生じた矛盾を繰り返し調整することで、どの画角においても腑におちるバランスを探った。スタディの過程で形はシンプルで合理的なものへと収束していった。一方でそれぞれの棟が立体として孤立しすぎず、面の集合として見せる方が、より人工物と樹木群が混ざり合う風景へ近づくように思えた。そこで面としての強さをもつ鋼板とポリカーボネートの波板を併用しながら、奥行きのない面の集合で、全体としてはどこを見てもエンドがなく周囲の風景へとつながっていくような全体性を目指した。


施工は一棟一棟、敷地北側から時計回りの順番で進んだが、事務所内では終わりのない細部おさまりや塗装色の検討がつづいていた。現場とモデルが描くパース画を往復するうちに、色彩のアウトライン、つまり色の切り替わりは、物理的な形態に従わず、建物の輪郭とずれながら独自のアウトラインをつくるべきなのではないかと思うようになった。たとえば、女性用トイレ裏側のなだらかにカーブする壁に塗装された縞状のグリーンはそのまま地面へと伸び、隣の樹木群の緑までつながる。そこに点字ブロックの黄色が横切り、ピロティの上の壁へとつづいていく。そんな具合に、建物から地面や植物、また建物へと、棟やものの種別を超えて、色の塊を自由に横断させる。そうすることで棟一つひとつの独立した存在の強さより、それらに挟まれた空間が図として前に出ること、そしてそのように連なっていく全体がジャングルのような豊かさと奥行きをもって立ち上がるはずである。最後は地面やサインも巻き込んだ全体的な塗装計画となり、引き渡し日ぎりぎりまで塗装を粘ることになった。

会場オープンを直前に控えた2025年3月下旬には、会場内の工事車両が減り、仮設足場が外されて、多くのパビリオンの形が現れた。何度も描いたパースの奥には、隣接するパビリオンの輪郭が浮かび上がり、周囲の風景へとつながっていることに興奮した。敷地内には万博キャラクター、ミャクミャクの色柄をあしらった自動販売機やキッチンカーの看板も置かれ、あちらこちらに個が立つ、カラフルなノイズに満たされている。





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Suzuko Yamada Architects, Inc. Tokyo, JAPAN