NU:KUJU
landscape / renovation2025
photos by Yosuke Ohtake
some photos by Tsujii Shotaro, Maeshiro Ayano
some photos by Suzuko yamada, Kondo Akito
作品名: NU:KUJU
所在地:大分県玖珠郡九重町田野1681-14
用途:自然体験フィールド
〇NU:HAUS
建築面積:904.62㎡
延床面積:559.96㎡
構造:鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造
階数:1階
〇NU:KITCHEN NU:SHOP
延床面積(改修範囲):797.00㎡
構造:鉄骨造
階数:1階
担当:山田紗子、近藤暉人、山本太智 * 、奥村夢大 * 、権業裕太、鈴木心 ( * 元所員)
構造:佐藤淳構造設計事務所
設備:九電工(KRAFTIA)
植栽計画:グリーンワイズ
総合プロデュース、ディレクション:サン・アド
施工:廣亜
: 施主協力
竣工:2025年
site: 1681-14, Tano, Kokonoe-machi, Kusu-gun, Oita pref
kind:farm park
〇NU:HAUS
total flooe area: 904.62㎡
building area: 559.96㎡
structure: steel, RC
floors:1
〇NU:KITCHEN NU:SHOP
total flooe area(renovation area): 797.00㎡
structure: steel
floors:1
project team: Suzuko Yamada, Akito Kondo, Taichi Yamamoto*, Yuta Okumura * , Yuta Gongyo, Kokoro Suzuki ( * ex staff)
structural engineer: Jun Sato Structural Engineers
consulting engineer: Kyudenko(KRAFTIA)
landscape design: GREEN WISE
Executive Production & Creative Direction : SunAd
construction firm: KOUA
: With kind cooperation from the client
Year: 2025
2023年夏、私たちは阿蘇くじゅう国立公園の高原にあるくじゅうやまなみ牧場を訪れた。九重連山の山々に囲まれ、猛暑の8月でも標高1,000m近い飯田高原まで来ると急に暑さがやわらぐ。25年前につくられた観光牧場は、広い牧草地がいくつかのエリアに区画され、それぞれに羊、山羊、馬、牧羊犬たちが暮らしていた。柔らかなラインが波打つ風景に、方形に仕切る柵や建物がぎこちなく、囲われた動物たちを外から覗き見る閉じた図式が敷かれていた。餌やり体験、子羊レースといったアクティビティもその強い主従関係を裏付けていた。2度目の訪問で、「動物たちがのびのびと暮らす風景へ、訪れる人がすっと足を踏み入れる、そんな場所にできないだろうか」という話をした。
最初の1年は何度も足を運び、マスタープランや場所のイメージを描いては、15haもある敷地を歩いて言葉を交わした。この場所はどうあるべきなのか。雨が降ると現れる湿地、褐色の火成岩が散らばる岩場、川の音に満たされる森の際。描けば描くほど、歩けば歩くほど、話せば話すほど、今まで見えていなかったものが顕わになり、私たちはそのたびに舵を切ることになる。そうして茫漠たる牧草地が、各々異質な様相をもつ場の集まりであることに気づく。遠景にはふっくらと丸い頂が並んだ三俣山、軽快なリズムをつくるブルーベリー畑、既存工作物の下に現れた地形のうねり。そんな個性的な輪郭が波打ち、オープンエンドなランドスケープが蠢く。
私たちは、それらの輪郭に倣うように、柵、道、並木、動物舎、と強弱さまざまな線を引きはじめた。風景に馴染むのではなく、連なりながらも個を立たせることが、互いの存在をたしかなものとし、力強い風景をつくる。古い動物舎から牧草地へとまっすぐ伸びる屋根は、羊や山羊たちの新しい居場所である。4mごとに配置された壁が、日陰と日向、風の吹く場所・とどまる場所を交互につくる。その中で彼らは過ごしやすい場を選び、左右に開いた大きな開口から牧草地へと自由に出かけていく。
放牧地全体にリズムをつくる橙色の柵は各部屋から伸び、住まい手である動物たちの生活領域を描く。そこに引かれる線は自然、動物、人間の関係を規定する。雄と雌、山羊と馬、野生動物と宿根草。さまざまな境界を描きながら、歩を進めるたびに開いたり閉じたりと一様には知覚できず、完結しない。敷地の高低差も利用しながら、ゆるいカーブで内側と外側をともに描き、どちらが内か外かわからなくなるような現れを目指す。遠景からは橙色の支柱だけが浮き上がり、ものとしての存在は際立ちながらも、その機能や意味は不確かなものとなった。
牧場の歴史には、人が環境に手を入れ、そこで動物を飼い慣らし、人工と野生がせめぎ合いながらもつくられた均衡点がある。今そこに揺さぶりを仕掛け、自然・動物・人間の関係性をよりフラットに再構築する。そして元々あるものも新たに加えたものも、この豊かな環境の並走する旋律となることを期待した。
←back
Suzuko Yamada Architects, Inc. Tokyo, JAPAN