drawing chair


furniture
2024





photos by malibu fukuda


展示会概要展示会名:OPEN FIELD 第2回企画展「ショールーム・フィクション 線のような家具と家具のような立体」
会期:2024年9月13日(金)-27日(金)
会場:オカムラガーデンコートショールーム

企画・キュレーション:五十嵐太郎
参加作家:山田紗子+丸山のどか
製作・施工:株式会社鎚絵

什器概要
担当 : 山田紗子、鈴木心、山本太智
構造:スチールパイプφ19.1
製作・施工:株式会社 鎚絵

※什器は現在販売中です。お問い合わせは弊社担当の山本(ty@suzukoyamada.com)までお願いします。


Summery of the exhibition
exhibition name: OPEN FIELD 2nd exhibition “showroom fiction -line-like furniture and furniture-like solids
period: 2024/9/13-27
site: olamura garden court showroom
organizer: okamura
curator: Taro Igarashi
participating artist: Suzuko Yamada + Nodoka Maruyama 

fact sheet of furniture
Project team: Suzuko Yamada, Kokoro Suzuki, Taichi Yamamoto
material: steel pipe φ19.1
Production:Tsuchie Inc.


※The furniture is on sale. For more information, please contact the address below. (ty@suzukoyamada.com)

OKAMURA OPEN FIELD 2024
オフィス家具メーカー、オカムラのショールームで行われた期間限定のインスタレーション。ショールームではオフィス環境が再現される空間の中、色や形、機能の異なるさまざまな家具が展示されている。オフィススペースというニュートラルな空間にチェアやデスク、棚やパーテーションが並べられることで、仕事環境に適したさまざまな距離が生まれている。家具一つひとつの形そのもの、また集合することで生まれる大きな輪郭は、それぞれの機能や用途を超えて、空間のストラクチャーとなる。家具にはそのような力がある。

家具はまた、人の周りに境界線を描く。たとえば大きなラウンジチェアに座っている人がいる。大きな背もたれは、その人と背後の空間を区切り、左右に広がるひじ掛けが隣に座る人との距離を遠ざける。人の体や行動を支えるためにデザインされた形は、同時に、人が空間に関わるための境界となる。その境界線が、伸びたり縮んだり、開いたり閉じたりすることで、人はその周囲の空間との距離を保つことができる。

そこで境界線、つまりアウトラインだけの家具をつくることにした。機能や用途から自由になったアウトラインは、軽やかに宙を舞い始める。たとえばそれは頭の先よりも少し上を通り、右肩の後ろを掠めて足元に水溜りをつくる。または左右に手を伸ばしたようにすっと広がり、背後に大きな円を描くかもしれない。そのような家具を7つ並べる。そこではある時は誰かのアウトラインが自分のアウトラインになり、その逆もある。複数のアウトラインが交錯する場に人やものが出入りし、常に揺れ動く境界と影が新たな場を立ち上げる。

今回はアーティストの丸山のどかさんとのコラボレーションワークでもある。私たちのつくる空間に丸山さんの二次元的で不思議な存在感をもつ生活用品を象った作品たちが並ぶ。ペールトーンの柔らかい色味の塗料が何重にも塗り重ねられている丸山さんの作品たちは、それぞれが独特の存在感を放っている。今年リニューアルしたばかりのショールーム内装も、すでにさまざまな素材や色であふれていた。そんな中で、私たちの描くアウトラインが、影のような立体として立ち上がると面白いのではないかと考えた。今回も北九州の鎚絵さんに協力いただき、直径19.1mmのスチールパイプを曲げ加工し、黒艶塗装を施した。ショールームの壁が持つ曲線や柱、カウンターに呼応しながら、空中に落書きをするようにアウトラインを描き、それらは丸山さんの家具や自らの影と繋がりながら空間を満たした。


以下五十嵐太郎氏によるテキスト

予期されない出会いや出来事の場として生まれたOPEN FIELDの2回目の展覧会では、異なるジャンルのクリエイター、すなわち建築家の山田紗子さんと、アーティストの丸山のどかさんによるコラボレーションを企画した。二人とも期待されている若手である。山田さんは、ジャングル・ジムのような屋外空間を備えた野心的な自邸、daita2019などで注目されたほか、インスタレーションや展覧会の空間構成も手がけている。また丸山さんは、家具や小物など、身近な日常生活で見られるモノを対象としつつ、ベニヤや角材を用いて再現する手法で知られ、各地の展覧会に参加している。そこで今回は日常の風景に違和感をあたえながら、異世界の存在を想像させる空間の創出をめざした。そもそもOPEN FIELDの会場が、オカムラのガーデンコートショールームの一部であることを踏まえ、ここをニュートラルなホワイトキューブとしてリセットせず、普段の雰囲気を残しながら、むしろ製品を陳列する「ショールーム」という位相をズラすことができるのではないか。

丸山さんがつくるのは、本物のようなモノ。これらは実用性を備えた家具や小物ではなく、抽象化された立体作品=彫刻である。しかも表面は絵画のようにペイントされている。三次元の存在でありながら、二次元的だ。一方、山田さんは空間の中で踊る線というべき細いスチールパイプのインスタレーションを制作し、それらが重なりあう室内の風景を生みだす。これは意味を剥奪された抽象的なモノのように見えるが、座るなどの機能をもち、家具的にふるまう。ときとして二次元に感じられるかもしれないが、三次元に展開する。
したがって、アートとデザイン、あるいは二次元と三次元が反転したり、宙吊りになるのが、「ショールーム・フィクション」の空間となるのだ



English ver. coming soon...



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Suzuko Yamada Architects, Inc. Tokyo, JAPAN